号外 長井のコラム

2009年03月10日

ミニコラム「勝手なリフォーム」

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 年度末、道路工事が多いですね。
 西松建設の事件を聞いていると
 このような工事が不信に思えます。
 
 
■ テーマ____________________
 
 ・勝手なリフォーム〜先回の詳細解説
 _______________________
 
 
 この仕事をしていて私が一番落ち込む時は
 
 依頼者が明らかに被害者だとわかっているのに
 どうにもならない状況に追い込まれた時。
 
 
 このような状況になるには
 相手業者の倒産などもありますが
 依頼者側に問題がある場合も多いです。
 
 例えば
 1、弁護士費用がなくこれ以上踏み込めない
 2、相手を恐れあきらめてしまう
 3、書類にサインしてしまい法律上なんともならない
 
 
 今回、上記3の実例を一つ紹介します。
 自分たちの落ち度から最終的に泣き寝入りした例です。
 
 
 内容につきましては
 話を詳しく聞いたり現場、書類の確認で
 事実であることは確認しました。
 
 ここに記載する意味は
 相手の会社を批判中傷したり、
 記載によって何か助けを求めるものではありません。
 内容を多くの人に知っていただき役立つことで
 被害者本人が精神的に少しでも満足したい希望があります。
 ただ、本人が体に障害がありパソコンの操作が出来ないので
 私がかわりに内容を紹介します。
 
 こんなことが実際にあるんだ
 気をつけようと思っていただいたら
 本人も少しは満足できると思います。
 
 
 先回の写真
 150





 ◆写真解説
 希望を無視しリフォームされた例。
 左が希望、打ち合わせの図面。右が実際完成した図面。
 玄関(黄)、キッチン(緑)、トイレ(赤)
 、浴室・脱衣(青)全て位置が違う。


 ここからが本文↓
 
 Aさんは築20年の木造住宅のリフォームを
 今から3年前に計画。
 歩行がかなり困難で介護保険を使い
 水まわりの改良とバリアフリーにするのが主な計画だった。
 
 業者選択に際し、
 新築当時、地元工務店へ依頼しいろいろ揉めたので
 今度は大手ハウスメーカーへ依頼しようと
 最初から決めていました。
 
■過ち1・・(大手メーカーがリフォームが得意とは限らない)

 
 H18年1月ハウジングセンターへ行きB社と相談。
 リフォームも可能で介護リフォームも
 出来ることを確認し話を進める。
 
 
 最初にハウジングセンターを訪れてから1ヶ月後
 予算が500万円と最初に伝えたのに
 1500万円かかると担当のC所長に言われる。
 
 ここで一度は断るが
 C所長が何とか予算内に収めると言い保留状況にする。
 
 ■過ち2・・(1500万が500万に ここでおかしいと思うが断らない)

 
 その後3月30日の夜、突然C所長が訪れ
 いくらだったら契約できるか迫られ
 この日、図面、見積書もないまま
 500万円の契約をしてしまう。

 ■過ち3・・(安易な契約に落ち度があった。この日は
       会社にとっての決算でありノルマの足らないC所長が
       契約を急いだだけと思われる)
       
 
 その後、5ヶ月間何も進展がなく
 9月上旬 いきなり職人が来て解体工事が始まる。
 この日はじめて、図面、設備仕様、工程表をもらう。
 図面は要望と違い勝手に書かれたもので
 ストップをかけるがそのまま強引に工事が継続。
 
 ■過ち4・・(工事を無理にでも止めなかった)

 
 納得いかないまま工事は約2ヶ月で完成。
 勝手に始めたため介護保険は適用されないまま
 工事途中の9月末、工事代金全額支払い。

 ■過ち5・・(納得ができないのに工事中に100%
       代金を払っている)
       
 
 工事が終わって1ヶ月後の12月末の夜
 電話アポなしにC所長が訪れ
 「儲けがなかったので追加代金300万円払え」と言った。
 これを拒否するといくらだったら払えると
 サラ金の取り立てまがいの脅しを受けて
 150万円の支払いの約束をして追加注文書に捺印
 後日代金を支払う。
 
 ■過ち6・・(その場で了解してしまった。
      1日おいて専門家に相談するなどするべきであった)
      
      
 翌年1月
 今までの経緯が納得できないので
 C所長を呼び工事のやり直しなどを求める。
 
 その後、D支店長まで出てくるが
 意見を押さえ込まれ最終的に同年(平成19年)3月、
 今後一切の債権債務がないことを確認する合意書に
 サインさせらてしまう。
 
 ■過ち7・・(書類の意味をよく把握せずにサインした)

 
 この後もやはり納得がいかずメーカーへ連絡するが
 対応は悪い。
 何度かやり取りしているうちにC所長、D支店長が転勤で
 いなくなり当事者との話ができなくなる。
 
 それでも苦情を言い続けると
 最終的に平成20年8月 メーカーが弁護士を代理人に立て
 社員とコンタクトが取れにくくなる。
 
 役所や消費者センターへ泣きつくが
 相手にされずたらい回し、話が嘘だと思われ
 叱られたことも
 
 結局、同情した人が当社をネットで見つけ紹介。
 
 私が現場確認し見積もりなどの照合をする。
 
 ・軽微な瑕疵 3点
 ・契約違反
 ・数量、内容がいい加減な見積もり項目多数発覚。
 
 これをもとに弁護士の判断を仰ぐが
 合意書が効いているので何ともならない
 可能性が高いとなる。
 
 やりかえ、返金はあきらめ
 最終要望を少しに絞ってお願いすることに
 
 ・外したカーテンレールの返却
 ・工事でダメにした家具の弁済
 ・段差の緩和 など
 
 を求めたが結果、全て却下
 冷酷な対応を受け、泣き寝入りが決定。
 
 
 本文は以上。
 

 わかっているつもりでも
 相手のペースのはまると同調してしまうのは
 誰でもあることです。
 
 富士ハウス倒産の事件でも
 着手前に7割支払うのはおかしいと思いながら
 払ってしまった方が大半であるのはないでしょうか。
 
 
 今回はC所長のノルマ達成のために
 Aさんが利用された。
 
 景気が悪くなればこのようなノルマに苦しむ
 社員の不正が増えるかもしれません。
 
 
 
 振り込め詐欺対策と同じで
 騙されないように
 相手任せではなく良く考えて行動し
 疑問があればその場で判断しないことです

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2009年02月17日

ミニコラム12 「対称的なこと」

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 今日は書類などに追われています。
 基本的に現場が好きですが
 たまには昼間のデスクワークもいいですね。
 
 
■ テーマ__________________
 
 ・冬場の結露、過乾燥
 ______________________
 
 
 高気密構造の建物で
 似たような地域の建物なのに
 
 部屋の
   「結露がひどくて困る」
 
   「乾燥がひどくて困る」
 
 という2種類の相談が冬は寄せられます。
 
 
 なぜ正反対の状況が起きるのでしょうか?
 
 内装材や生活環境、暖房器具の違いもありますが
 一番の原因は換気システムの違いです。
 
 
 家中全ての吸排気を機械でコントロールし
 換気の際、熱交換までする
 「1種換気」は空気が乾燥します。
 
 湿度が20%で加湿機をかけても追いつかない
 洗濯は部屋干しにするなど対策に苦労している
 相談を受けます。
 
 
 これと反対に
 トイレなど換気扇の排気で空気を引っ張り
 吸気口から空気を吸う「3種換気」は結露がおきやすい。
 
 ついスイッチを切ってしまったり
 また、換気はしていても排気近くの空気だけが
 動き、部屋によっては人の息だけで湿気が溜まる。
 
 
 結露は窓枠、クロスがカビたりしますし
 過乾燥は風邪をひきやすい
 
 どっちが良いとは一概に言えません。
 
 ・性能を上げれば価格が上がる
 ・屋根の耐久性を考え瓦を選ぶと重くなる とか、
 
 全て満足できることって少ないですね。
 
 
 偏った情報でなく
 メリット、デメリット両方を知ることが大事ですが
 
 建材、設備機器などの進化が激しい今
 それは難しくなっていると感じます。
 
 自分自身で情報を取ることも必要でしょう。
 

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2008年12月19日

ミニコラム11「欠陥住宅は忘れることができない」

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 今日もこれから検査3件。
 1件はやや遠方で帰りは遅くなりそうです。
 
 
■ テーマ__________________
 
 ・欠陥住宅は忘れることができない
 ______________________
 
 昨日、Aさんからいただいたメールです。
 
 
 「長井さん、今日の昼間のメール
   ありがとうございます。
  
  本当に、心底、覚悟を決めないと、
   これから先は進めませんね。

  あらためて 自分の置かれている立場を
  思い知らされた思いです。

  頑張ります!」
  
  

 このメールをいただいた経緯を紹介します。
 
 Aさん、自宅が地盤沈下で最大8CM傾いた。
 
 私がかかわったのは今から2年ほど前で、
 家を販売、施工した業者を
 訴えようと思いましたが
 相手の経営状態が破産状態に近く断念。
 
 
 その後、本人家族が直接交渉したが
 相手から逆に暴言、脅しをかけられ
 Aさんの父親は「うつ」になってしまいました。
 
 これ以降、いくつかの解決案を実行しようにも
 Aさん家族が相手を恐れて
 約1年ほど何も進展しない状態に
 
 この状況ではまずい、時効も来る。
 年末、ここで何か奮起させないと思い、
 私から昨日メールを送りました。
 
 
 その一部ですが
 
 「悲しいこと、辛いこと
   人は忘れることができます。
 
  欠陥住宅、特に目に見えるものは
  そこに住み続けている以上
  忘れることはできません。
  
  時が解決する問題ではありません。
  自分自身で動かないとダメです。
 
  傾いた家に住み続てる間はお父様のうつ病も
  治らないでしょう。
  
  Aさんが長男として前面に出て
  ご両親を安心させてあげたらいかがですか」
  
 
 
 問題の解決は
 本人が中心となり周りを巻き込んで
 いくくらいのパワーがないとダメです。
 
 
 何も解決しないまま
 傾いた家に住み続けることは本当に
 苦痛だと思います。
 
 やれること全てやってみて
 もし、ダメでも気持ちだけは
 変わるのではないでしょうか。
 
 
 
  「家は買ってから後悔しても遅い」
 
  「欠陥住宅はそこに住み続けている限り
         忘れることはできない」
 
 私からのメッセージです。
 

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2008年11月28日

ミニコラム10 「契約後 後悔しないために」

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 今日の雨で現場の予定3件
 
 全て延期
 
 久しぶりの昼間の事務所
 たまった書類を集中して片付けています。
 
 
■ テーマ___________________
 
 ・契約後のトラブルをどう防ぐか
 _______________________
 
 
 検査のお客さん(現在新築工事中)からこんなメールを
 いただきました。
 
 
 「知人が、○○○○で家を建てましたが、
 契約したら少しも要望を聞かず、
 大嫌いな家に住んでいるとのこと。
 よくある話なんですかね。
 
 まもなく私の家は完成です。
 いえづくりから早く解放されたいです」
 

 知人のことを最初に書いていますが
 本人も解体工事から建築会社とトラブル続き
 
 そのたびに業者の不誠実な対応に悩まされています。
 
 
 この方だけではありません
 今、私が担当してるお客さんで同じような方
 あと、現在3名います。
 決して少ない確率ではありません。
 
 
 家は3回建てないと納得したものが建たない
 とあきらめるべきでしょうか?

 一般的に業者は
 売り込むときは一生懸命で対応も良いですが
 契約した途端に見放し
 工事はさっさと終わり手離れ!
 という感じが多いでしょう。
 
 はじめからわかっていたら頼まなかったと
 契約後に知っても手遅れです。
 
 良く業者選びは
 結婚相手を探すのに似ていると言われますが
 そうかも知れません。
 
 こんなはずじゃなかったと
 ならないためにどうしたらよいのでしょう。
 
 
 それは 家にこだわりのない方は別にして
 自分のこだわりをきちんと業者が
 叶えてくれるか見極めることです。
 
 
 世界的に有名な建築家「安藤忠雄」氏
 お金があれば是非頼みたい建築家です。
 
 安藤氏は自身の著書「建築家 安藤忠雄 新潮社」
 の中でこんなことを書いています。
 
 「住まうとは、ときに厳しいものだ。
 私に設計を頼んだ以上、あなたも闘って
 住みこなす覚悟をしてほしい。」
 家を建てたいという人が来たときに、
 私はこのような話をして、住吉の長屋(実質的なデビュー作)
 の計画などを説明すると。大半はしり込みして帰っていく。
 
 補足・・住吉の長屋は常識的な機能主義の観点
     からすると不便極まりない家です。
 
 安藤氏は黙っていればバンバン仕事が取れるのに
 詳細を説明し、納得してもらってからでないと
 設計しないようです。
 
 
 ほとんどの会社は
 門戸が広く、予算が合えば誰でもOKです。
 担当者によって当たり外れもあるので
 
 安藤忠雄氏のパターンで
 お客さん自らこだわりなどを
 契約前にはっきり言うべきです。
 
 「私は細かいです」
 「インテリアについてうるさいです」
 「断熱に非常にこだわりがあります」
 とかはっきり細かく言っておいて
 対応できるかどうか見極めるべきです。
 
 そうすれば出来ない業者はしり込みして
 去っていくでしょう。
 
 
 検査以外にいろいろな相談を受けますが
 品質面以外でも満足して完成を迎えたいです。
 
 
 
=========================
■(2)編集後記

 「現場の雰囲気」
 
 毎日、いろんな現場を廻っている私は
 現場に入ってすぐ感じる「雰囲気」で
 いい現場か悪い現場かわかります。
 
 これは経験ですから細かいことを
 文字にするのは難しいですが
 
 1つは「施工の丁寧さ」
 多くの現場を見て判断基準が付いたのでしょう
 見た瞬間にわかります。
 
 もう1つは「職人さんの良し悪し」
 これは挨拶した時に感じます。
 
 
 この2つでまず、
 検査後の結果に狂いはないです。
 いいと感じれば指摘は少ないです。
 
 
 これは誰でもわかるものではありませんが
 現場案内など行ったときに意識してみると
 わかるかもしれません。

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2008年11月07日

ミニコラム9 「建築士制度が変わる?」


 こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 今日から月曜日まで非常にハードスケジュールです。
 検査ぎっしり、セミナー、相談・・・
 前の晩に書いています。
 
 
■ テーマ__________________
 
 ・建築士法の改正 「重要事項説明」など
 ______________________
 
 
 「建築士法」が改正に基づき
 11月28日から建築士制度が大幅に見直されます。
 
 姉歯マンション偽装事件による法律など
 の見直しの1つです。
 
 
 建築士以外の方にも知っていただきたい
 項目を2つ紹介しましょう。
 
 ________________________________________

 ○一級建築士の免許証がICチップ入りの
  携帯可能なものになる。
  
 
 私も年に2回ほどは、
 建築士免許書見せてくれとお客さんに言われます。
 
 資格もないのに名刺に勝手に書く例があり。
 疑う人がいるからです。
 (リフォームなどでは多いようです)
 
 現在は賞状のようなA4サイズの紙。
 
 免許証のようなサイズになれば、
 現場でも気軽に見せることができますね。
 
 変更手続きはこれからで、変更するかは
 任意のため全員に適用するものではありません。
 
 
 _______________________________________
 
 ○設計、監理 契約時に施主に対し
    「重要事項説明」が必要になる。
 
 「重要事項説明」と聞くと
 不動産の売買契約を思い出します。
 契約前に物件情報、金銭についてなど
 宅地建物主任者が説明するものですね。
 
    
 設計の場合は
 ・契約金額、支払い時期
 ・作成する図面の種類
 ・現場監理の頻度や報告方法  など
 を説明し書面を交わさないといけません。
 
 
 曖昧な建築士の業務を明快にするという意味では
 良いことです。
 
 直接、設計事務所に設計を依頼する場合は
 全くこの制度は問題ありませんが
 多くの方は、ハウスメーカーや工務店へ依頼し
 工事請負契約だけで設計契約がないのが普通です。
 
 このように設計と施工が同じ会社で
 設計費が別れていない場合や
 設計士が自社にいなく、下請けで施主に対し
 建築士を直接会わせないケースは
 どうなるんでしょうか?
 
 ・家の代金から工事費と設計費をわける
 ・下請けの設計士へ施主が直接設計代金を払う
 
 などの改善が必要になるでしょう。
 
 
 今までは図面だけの報酬で現場を実際に
 監理していなかった建築士も今回は監理の約束をする以上、
 責任が明快になります。
 
 ただ、以前と変わらないという懸念もあります。
 
 他の建築士にインタビューしてみましたが
 書類が1つ増えただけでやる事は変わらないのでは?
 という意見が大半でした。
 
 監理が機能し、瑕疵が減る事は期待できそうもありません。
 建築士の責任追及がしやすくなっただけのようです。
 
 また、建築主が「建売住宅」の場合は
 なんら変わりません。
 
 消費者として家を建てるとき
 設計契約時に「重要事項説明」があること
 を是非覚えておきましょう。
 

 
=========================
■(2)編集後記

 
 事務所の貸駐車場を今月末で
 明け渡ししないといけません。
 
 約60台ほどの広い駐車場、
 何か建物が建つみたいです。
 
 住居などと違い、いきなり宣告されても
 それに従うしかありません。
 
 事務所のある場所は
 田舎ですけど一応駅前通り。
 
 今日、不動産屋に情報を求めましたが
 近くに空きはないそうです。
 
 
 期限まで時間があるので
 もう少し探すつもりです。
 
 駐車場がないと事務所自体の移転も考えないと
 いけなくなるかもしれません。
 
 


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2008年05月15日

号外「本当に安心?住宅瑕疵担保履行法」

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 今回はいつもの欠陥事例紹介とは違った内容を
 お伝えします。
 
 
  「本当に安心?住宅瑕疵担保履行法」
 
 
 住宅瑕疵担保履行法が平成21年10月1日から施行
 詳しくは下記
 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/index.html
 
 
 住まいを守る法律としてのうたい文句ですが、
 
 現在も一部の工務店などでは同じような
 瑕疵保険を掛けています。
 ただ、実際に瑕疵が発覚した場合、
 保険の支払いにおいてトラブルがあるのも事実です。
 
 
 本当に安心か判断していただくため懸念事項を
 列記させていただきます。
 
 
 1、故意か重過失の瑕疵は保険対象外に
 
  飲酒運転での事故は自動車保険が
  使えないのと同じ事ですが、
  
  住宅の場合、
  重大な瑕疵のほとんどは故意、又は無知か過失です。
  
  これらが保険対象外で保険の意味があるのでしょうか。
  
  
  途中に保険法人からの現場検査がありますが
  過去、トラブルになった場合の例を見てますと
  
  「検査時確認できなかった」
  「一部見るだけで全数検査していない」
  「役所の検査は合格している」など
  検査責任逃れをし、結局、保険対象としない。
  
  
  瑕疵が発覚し、原因調査の結果、
  重過失、軽過失の判断の境も微妙でしょうし、
  故意、重過失と判断されるケースがほとんどになる
  懸念がある。
  
  この保険の掛け金は業者負担が原則ですが
  実際は消費者の負担となるでしょう、
  負担が増えた上にカバー範囲が狭い保険では
  一番メリットがあるのは消費者ではなく
  指定される保険法人ですね。
  
  
  
 2、保険適用範囲
  
  瑕疵担保責任、10年保証の範囲同様で
  
  「構造上主要な部分」 と 「雨漏り」に限定。
  
  
  構造上主要な部分の瑕疵はまず、素人ではわからない。
  
  姉歯マンション偽装事件なども住民が気が付いた訳
  ではないですね
  
   ・・・ほとんどが内部告発です。
  
  構造の瑕疵は、完成後に私のような建築士が家を調べて
  発覚する事がほとんどです。
  大地震、台風で被害が出るまでわからないでしょう。
  
  
  また、雨漏りに付きましても
  最近の高気密、高断熱化の影響で壁内で起きた雨漏りが
  表面に出て来るのが遅く、10年過ぎて新築当時からの
  雨漏りがわかった例もあります。
  
  
  これ以外
  
  造成地の擁壁の倒れや
  土のみの沈下
  シックハウスなど
  
  の重大な問題には保険は適用されません。
  
  
  
 3、設計ミスの場合は?
 
  設計図面の間違い、設計監理者の指示による瑕疵は
  現行でも保険対象外(故意、重過失)である。
  
  保険を掛けるのは施工業者であり、自社設計でなく
  設計が分離していた場合は
  特に、関係のない事で済まされるでしょう。
  
 
 
 4、保険金の上限は2000万円
 
  もし、保険が認められても、
  建替えが必要な工事になった場合など
  
  これで足りないでしょう。
  
 
 5、工事中に発覚した瑕疵は?
 
  今年、相談を受けた例ですが
  工事完了前にトラブルになり正式な引渡しを
  受けないまま入居。
  その後、第三者の建築士の調査で構造的に
  建築基準法に違反している事が発覚。
  業者が無視するため保険会社へ連絡を取った所、
  「まだ、保険証を発行していない
  =工事中の問題であり保証できない」との返事が。
  
  建物が完成してからの保証であり
  工事途中は対応できないでしょう。
  
  
 他にも考えますといろいろまだ、ありそうです。
 
 
 
 
 姉歯マンション偽装事件で
 売主、施工会社の倒産から被害者が自己負担で補修を
 余儀なくされたケースから今回、作られた法律ですが
 これで安心と思った方はみえるでしょうか?
 
 
 今年に入ってからも私はいろいろなトラブルを見てきました。
 
 ・退職金をつぎ込み、耐震補強工事をお願いしたのに
  工事して逆に弱くなった家
 
 ・デザインを優先するため、建築基準法の構造を無視した
  設計の家
 
 ・確認申請の厳格化により工事が開始できないため
  無申請でさらに構造計算までも省略した家
  
 ・擁壁が沈み傾いた家 
 
 ・地盤が沈下し杭の周りが空洞になった家

 ・壁が少ないため風で揺れ、ひび割れ多数の家 など
 
 
 これらはもし、保険制度があって実際救われたかと思うと
 すべて上記のような理由で、無理だったのではと思います。
 
 
 家の購入で人生つまずかないためにも
 結局は「自己防衛」しかない
 
 
 過去の建築基準法の改正では
 改正前の家は切捨てられてきた。
 無料耐震診断、補強費補助という制度が一部あるが
 十分ではない。
 
 学校、病院、老人ホームを改革している
 居酒屋チェーンで有名なワタミの渡邉社長の著書にもありますが
 「もう、国には頼らない。」 (日経BP社)
 
 この理念を共感して「自己防衛」で家作りに望むべきでしょう。
 

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2008年02月16日

「号外7」結露 

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 今回はいつもの欠陥事例紹介とは違った内容を
 お伝えします。
 
 
 このところの寒さ厳しいですね
 基礎など外の検査はもちろん
 完成検査では部屋内を素足で歩くため
 足がとても冷たいです。
 
 ところで
 最近、「結露」の相談が多いです。
 
 
 気温が低いと屋内との温度差が大きくなり
 結露はおきやすいです。
 
 
 新しい最近の家は結露しないという考えは
 間違いです。
 
 
 結露発生の原理を知れば、納得できるものの
 
 「結露」に関する書物などは非常にわかりにくい
 
 私もいろいろ結露に関する本を読みましたが
 空気中でおきる現象を言葉で理解する事は難しいです。
 
 
 
 そこで
 まず、結露が嫌なら
 
 1、家を計画の際、サッシ選びを考慮しましょう
 
  温度差は結露の一番の原因です。
  最近は2重ガラスが増えましたが枠がアルミのままでは
  外気がそのまま伝わるため結露は防げません。
  
  思い切って「樹脂サッシ・・枠が100%樹脂製」、
  にすればサッシの結露からは開放されます。
  (洗面所など湿度が一時的に多くなる場所は樹脂でも
   結露することあります)
  
  (参考)樹脂サッシメーカーのHP
  http://www.shanon.jp/index.html
  
  
 すでに建てられた方はサッシを替えることは困難です
 結露のおきにくい条件として
 
 
 2、湿度管理をする
 
  車のガラスがくもるのは雨の日ですね
  湿度が高ければ結露もしやすくなります。
  
  一般的に湿度40%以下は風邪をひきやすいと言われ
  加湿器を使う人が多いです。
  
  部屋の湿度に関係なく加湿すれば水蒸気量が増えて
  結露を起こしやすくするだけです。
  人の息からも水蒸気が出ますし、料理をしても
  水蒸気が出るため、湿度管理をしながら加湿器を使いましょう。
  
  換気自体も有効ですが換気しても加湿していれば
  湿度は高くなります。
  
  あと、お風呂は蓋をして、
  蒸気は必ず換気で外へ出しましょう。
  
 
 
 3、調湿できる内装材を使う
 
  湿度管理と言ってもなかなかこれは面倒です。
  
  内装で湿度をコントロールする材料を使うとよく、
  内装なのでリフォームでも十分可能です。
  
  ビニールクロスだけの部屋は水蒸気の逃げ場もありません。
  水蒸気を吸収する内装材を使うと調湿(湿度を安定させる)
  をするので結露がおきにくくなります。
  
  代表的なのは天然木、紙、INAXのエコカラット
  などがあります。
  
  
  
  幸い、築5年目の我が家も結露とは無縁です。
  
  サッシは国産ですが、
  アルミ枠の中間に樹脂をはさんだタイプの
  ガラスは2重ガラスです。
  
  上記の2,3番の効果も大きいです。


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2008年01月05日

「号外」完成時の傷、汚れはどこまで言える?

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 今回はいつもの欠陥事例紹介とは違った内容を
 お伝えします。
 
 先月は完成検査が多くその時に感じたことをお伝えしましょう。
 
 
 『完成時の「傷、汚れ」はどこまで言える?』
 
 
 家が完成し内部を見たときの感想は人それぞれです。
 
 「素敵な家が完成した〜」
 「思いどうりの夢がかなってうれしい〜」
 
 「工事中いろいろあったけど無事完成してよかった」
 「思っていたイメージと少し違う箇所が・・・」
 「傷、汚れが気になる」
 
 
 この中で最後の検査でよく問題になるのが
 「完成時の傷、汚れ」
 
 
 施主の立場とすれば新車などを買うような時と同じで
 
 傷、汚れがなくて当たり前  です。
 
 
 しかし、建築業者側の考えはそれぞれです。
 
 私の経験上
  大手ハウスメーカーは
  傷、汚れで施工時につけた物は軽微でも当然責任がある
  という考えできちんと直してくれます。
  
 これと全く正反対の業者もいます。
  家は気をつけていても傷、汚れが付いて当たり前、
  住めば傷が付くし、仕方ない。
  
 
 買う前に後者の意見の会社だったら依頼しますか?
 
 きっと頼まないでしょう。
 
 しかし、大半は後者の考えの業者です。
 完成検査時に傷、汚れを指摘すると顔がだんだん
 険しくなる・・・よくあることです。
 
 前もって完成時の傷、汚れが発覚したときの
 対応を聞いてみるもの手です。
 
 
 ここで完成時の傷、汚れを見るポイントを教えます。
 
 傷、汚れは見出したらはっきり言ってキリがありません
 私でも全て見落とさずに指摘を出せと言わせても無理です。
 以下の方法を心がけてください。
 
 自分の生活目線(掃除目線も入れて)で気になる箇所を
 チェックすると良いでしょう。
 その時、意識する所は
 
 ・壁、天井、床
 ・ドア
 ・設備機器など・・目に入るもの全てです
 
 上記にも書きましたが立って見ているだけではダメです
 ここでは座る、寝る、掃除するなど
 生活を想定すると良いです。
 
 なぜ掃除を意識するか?・・・掃除をするときはきれいにしようと
 いう意識が頭にあり、傷、汚れはより目につきやすい。
 
 チェックの際は夫婦など複数の人間(意識)で
 (当社も検査時は加わります)行なうとよいでしょう
 
 
 さて、指摘はしたけどそれを直してもらわないと完了しません
 
 補修に関してですが
 通常、汚れは掃除で、傷は補修で直してもらいます
 
 補修にはもちろん限界があり補修前の方が良かったという
 事もあります。汚い補修の場合はプロの補修を要求するか
 取替えが可能であれば取替え要求することも必要です。
 

 傷、汚れに関しては当社も基準、法律自体がなく
 もめた場合は間で調整を取る事は難しいです。
 お客様自身が強く業者へ要求するしかありません。
 
 それが出来ない方は事前の業者選びを慎重にしてください。
 
 あと、傷、汚れは昼と夜など見え方は違います
 つまり光の当たり具合で見えたり見えなかったりするものも
 あります。
 
 引渡し後気が付いたものですが
 軽微でたいして気にならないものは言うだけ言ってみるか
 あきらめましょう。
 
 どうしても妥協できないような大きなものは
 申し出て直してもらいましょう。
 

iekensa at 22:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2007年12月22日

「号外」 家を建てたあとに考える事

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 
 今回はいつもの欠陥事例紹介とは違った内容を
 お伝えします。
 
 
 「家を建てたあとに考える事」
 
 
 先日、築30年ほどの住宅の耐震診断に伺いました。
 
 そこで目にした光景は 「ショック」 でした。
 
 それは
 『築30年とは思えないほどの痛んだ家を見たんです』
 
 
 住んでいるのは86歳のおじいさんと
 その子供たちの合計3名
 
 
 この家はおじいさんが定年退職したときに
 購入したそうでそれ以来、手は全く入れてなく
 普段の掃除も出来ていない状況で
 
   ものすごく傷み放題。
 
 
 検査の結果、欠陥箇所はなく、健全に建てられているのに
 このありさまです。
 
 
 
 最近、国が200年持つ住宅に税制を優遇する措置を
 出しましたが、
 いくら長持ちする材料で建てても手を
 入れないとダメな事が今の日本の家を
 見渡せばわかるはずです。
 
 200年先は現在、生きている誰もが生きていないわけで
 もし100年しか持たなくても責任負うものはいないから
 安易に法案も作れたような気がします。

 
 このおじいさん隣の土地を最近買うなど
 家とは違う事にはお金を使うようです。
 
 土地は資産となり次の代へ残る
 家はお金掛けても価値はあまりあがらない。
 
 
 聞いた話ですが
 アメリカ人は車を磨くより家を磨くそうです。
 
 
 
 日本人の個人金融資産は1500兆円、
 私には想像できないくらい膨大にもかかわらず
 住宅の補修、補強に使われていないのが現状です。
 
 地震がきて家がつぶれ命が危ないとわかっていても
 家を直すことにはお金を使わない。
 その反面、保険に興味のある高齢者は多い。
 
 死んで子孫に残すことばかり考えるようです。
 
 これが現状の日本で、家の寿命が短い原因です。
 
 
 これを正すにはやはり年金をきちんとしなければ
 なりません。一部の諸外国のように年金制度が
 きちんと機能していればお金の使い方は変わります。
 
 ただ、今の状況、ニュースを見ている限りは
 年金は問題山積みで期待はできません。
 
 何だか政治批判のようになってしまいましたが
 家を買った後のお金の使い道をよく考えてください
 
 せっかく建てた家が子供、孫の代まで使える
 または、高く売れるように是非手をかけて欲しいです。
 
 
 でも・・
 
 家を建てた後は、子供の教育費などでとてもじゃないけど
 お金に余裕がない・・・
 
 株、外貨の変動も大きく投資も怖い
 
 確かにそんな状況ですが
 人に頼らず自分で勉強していくしかないでしょう
 何もしなければ状況は変わりません。
 

iekensa at 20:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2007年11月01日

号外4  いい現場の「簡易見分法」

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 
 今回はいつもの欠陥事例紹介とは違った内容を
 お伝えします。
 
 
 「問題のありそうな現場の簡単な見分け方」
 
 
 私は今まで検査を850件以上行ってきた経験上から
 検査をする前に現場を見た瞬間、現場の出来を想像する事が
 できます。
 
 
 これはほぼ 「はずれ」 ません。
 
 
 最後まで読むと当たり前のこととわかりますが
 あらためて言われると納得できる事です。
 
 
 
 
 まずは【基礎工事】ですが
 
 ○「鉄筋がぱっと見てきれいに組んである」
 
  斜めになっていたり、バラバラな感じがしない
  
  
 ○「地面と鉄筋のかぶり(地面からの離れ)が規定の6CM以上
  きちんと取れている。」
  
  地盤の水平を出すのは非常に手間です、手がおろそかな職人
  はかぶりの確保がまずできません。
  
  
 次に【大工工事】
 
 ○内部の材料の整理整頓、清掃状況がきれい
 
 ○釘やビスの打ち方がきれい
  
 
 これらは「几帳面さ」が出る箇所です。
 腕もありますが几帳面な性格が仕事全体に表れます。
 
 
 
 ここまで読んでいただいたらわかったと思いますが
 職人の几帳面さを見れば問題がありそうかどうかがわかるんです。
 
 一部だけ几帳面という事はまずありません。
 几帳面な職人は完璧主義の人が多いです。
 
 この反対の汚い現場でいい仕事はほとんど見ません。
 
 
 
 今後の参考にしてみてください。
 
 ただ、基準を知らないなどの無知な場合は問題があるので
 この点を注意すればよりいいです。
 (第三者検査などでカバーする事をお薦めします)
 

iekensa at 23:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)