欠陥住宅事例10欠陥住宅事例11

2007年07月09日

号外 新聞記事の解説

こんにちは住宅検査カノムの長井です。
 今回は号外です!
 (いつもの欠陥住宅事例ではありません)

 7日土曜日の新聞1面に欠陥住宅裁判の記事が
 載ってました。
 私は中日新聞と日経新聞を取っていますが両方
 とも1面と社会面両方に載るなど大きく取り上げ
 られていました。
 
 しかし、内容が結構難しく感じたため私なりに
 解説させていただきます。
 
 
 
 以下朝日・COMより抜粋
 
「 欠陥住宅、救済の幅拡大 最高裁が「安全性」で新判断」


1、建物に欠陥が見つかった場合、どの程度なら設計者や
 施工者を相手に損害賠償を請求できるかが焦点になった
 訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)
 は6日、「建物としての基本的な安全性を損なう欠陥で
 生じた損害」があれば請求できるとする初めての判断を
 示した。
「建物の基礎や構造に欠陥があるような違法性が強い場合
 の損害」と限定していた控訴審判決より基準を広げ、
 違法性が強くなくても民法上の不法行為責任を問えること
 を明言した。
 
  
◆バルコニーの手すりなど(基礎、構造体以外)居住者など
  が使用する際に転落し、生命または身体を危険にさらす
  こともあり得る部分の瑕疵がある場合、建物には基本的な
  安全性を損なう瑕疵がある。
 (今までは基礎、構造体(柱、梁など)に限定されていた)
 ※バルコニー手すりは構造体ではない(法律上の解釈)
 
 ここで「不法行為責任」とは?
 
 故意や過失で権利や利益を侵害した場合、発生した損害を
  賠償する責任。民法で規定され、加害行為の違法性や加害
  と損害に因果関係があることなどが必要とされる。
 損害賠償請求権は不法行為を知った時点から3年。
  行為があってから20年が経過すると消滅する。
 
 

2、欠陥住宅をめぐっては、施工者や販売者と契約関係
 があれば、民法に規定された「瑕疵(かし)担保責任」
  を問える。
 第二小法廷は、こうした契約関係がなくても、施主から
  買った人や居住者に限らず、隣に住む人、近くを通った
人たちでも欠陥住宅によって身体や財産が侵害された場合
 は、設計者や施工者に不法行為責任に基づく損害賠償を
  求められることも明示。
 被害に対する救済の幅を広げる内容だ。


◆中古住宅などの購入者は販売者、建築会社と契約関係
 はない、契約関係がなくても損害賠償を請求できる。
 この件は今後非常に大きな意味があるでしょう。
 
 
 ここで「瑕疵担保責任」とは?
 
 契約に基づき売買したもに欠陥が見つかった場合、
 売主側が過失の
 有無に関わらず損害賠償の義務を負うもの。
 期間は2000年以降の新築住宅は主要構造部、
  雨漏りは10年間。
 
 
3、訴訟は、大分市内に建築中のマンションと店舗兼自宅を
  施主から買い受けた親子が、96年にマンションの設計
   会社と建築会社を相手に起こした。
 
 原告側はひび割れや排水管の亀裂、バルコニーの手すりの
  ぐらつきなどを列挙して不法行為が成立すると主張。
 しかし、二審・福岡高裁判決は「成立するのは、建物の
  基礎や構造にかかわる欠陥があり社会公共的にみて許容でき
  ないほど危険な『強度の違法性』がある場合などに限られる」
  として請求を退けた。

 これに対し、第二小法廷は、設計者や施工者、工事監理者に
  ついて「建築に当たって基本的な安全性が欠けることがない
 よう配慮すべき注意義務を負う」と指摘。
 バルコニーの手すりの欠陥でも転落する危険があり得るという
  例を挙げ、「基礎や構造にかかわる欠陥に限って責任が認めら
 れると解すべき理由はない」と二審の判断を改めた。
 
 そのうえで、原告の請求をすべて棄却した二審判決を破棄し、
 審理を同高裁に差し戻した。

 最高裁判決は、中古住宅の流通にも影響を及ぼしそうだ。
 中古の販売業者が瑕疵担保責任を負う期間は2年で、
  転売の数年後に欠陥が見つかっても販売業者が補償に
  応じない例が少なくない。
 国土交通省住宅生産課の担当者は「判決が定着すれば、
  中古を買う消費者の権利が保護され流通の拡大につながる」
 と話す。


◆先般の建築士法改正とともに建築士や業者の責任が重く
  なりました。
 最後に最高裁判決理由の一部を記載します

 
 建物は居住者、働く者、訪問者などさまざまな人が利用し、
 周辺にはほかの建物や道路などがあるので利用者や隣人、
 通行人などの生命、身体または財産を危険にさらさない
 ような安全性を備えていなければならない。
 
 このような安全性は、建物としての基本的な安全性という
 べきだ。
 設計者、施工者および工事管理者は建築にあたり、
 契約関係にない居住者らに対しても、建物としての基本的
 な安全性が欠けることのないよう配慮すべき注意義務を
 負うと解するのが相当だ。
 
 設計・施工者などがこの義務を怠ったため建物に基本的な
 安全性を損なう瑕疵(かし)があり、居住者などの生命、
 身体または財産が侵害された場合、設計・施工者などは、
 不法行為の成立を主張する者が瑕疵の存在を知りながら
 買ったなど特段の事情がない限り、不法行為による賠償責任
  を負うべきだ。居住者などが建築主から譲渡を受けた者
  でも異なることはない。



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■(2)編集後記

 今日の内容は難しい内容だったと思います。
 この件は欠陥住宅被害ネットのメーリングで事前に内容を
 知っていました。
 
 新聞掲載もあり弁護士さん達は特に注目し今後の裁判などで
 この判例を参考に活動されると思います。
 
 その反面、一般の建築業者、建築士はあまりピンと来て
 いないようです。
 
 ただ、本例は訴訟期間が約10年であり裁判の長さを感じます。
 

iekensa at 13:15│Comments(0)TrackBack(0) 号外 長井のコラム 

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